僕は大学受験を2年浪人し東京大学を目指し頑張っていた。
結果、国際基督教大学に見事合格し、その四日後の東京大学受験をすっぽかしたので
そのままICUに進んだわけなのだが、
うら若き未熟な、生娘のような感性をもった私は
純粋に目を輝かせながら「哲学がやりたいです!」と先輩にアピールしていた。
すると先輩は、これはよくある儀礼だろうか、ありがたい一言。
「哲学やるんだったら、岩波文庫(青)を全部読めなきゃダメ」
なるほど!純粋無垢で天真爛漫、目上の言うことを素直に聞く若者たる私は
早速図書館の文庫が置いてあるコーナーで2冊の本を手に取った。
ラス・カサスを読んで、いかに西洋文明が世界を破壊してきたのか、
陰惨な歴史をもたらしてきたのかに僕は打ち震えた。
そして、私財を全部投げ打って、『イーリアス』で読んだトロイア発掘に夢見る男のロマン。
なんて素晴らしいんだ!岩波文庫(青)最高だ!ロマンがある!!!!
僕は感動したのだった。
ところで僕は気づいたことがあった。
「哲学関係あれへんがな」
大学2年の初めの頃だった。
ICU名物の英語学習プログラム(当時はELP、今ではELAと呼ばれているらしい)を終え、
「哲学の勉強」を始めようとした矢先にいきなりの躓きであった。
しかし、僕は気づいたのだ。こうではないな、と。
えらい、えらすぎる。これが哲学をやる才能に恵まれた者の天性の才能であろう。
なので、早速僕は哲学史の教科書を本屋に買いに走ったのであった。
哲学史勉強するならこれ読めばいいですね。
まあ当時(2000年代中盤)の話なので、今はもっといい入門書・教科書が出てるでしょう。
以上のことがあっての僕の一言が
「岩波文庫(青)全部読め」のアドバイスは哲学初学者ではなく、博士号取得者に向けられるべきだな。まず一人の哲学者を修めてからでないと何もわからない。
— 𓋴𓏤𓎛𓇋𓈖𓎡𓋴𓏏𓎛𓄿𓈖(Σφίγξθαν) (@Sphinxthan) 2021年11月11日
ということなのです。