ネオ高等遊民さんの『一度読んだら忘れない哲学史入門』が刊行され、同時に
2024年は間違いなく哲学史イヤーになっているだろう。
そんな『哲学史入門』だが私も通読したので感想を述べたいと思う。
哲学史という意味においては古代から近世・近代、そして現代へと辿っていく順になっているのだが、作りとして興味深いのはそれぞれの時代の専門家にインタビュー形式で書かれていることである。
当然、どの時代の哲学においてもその分野の第一人者であるから、正確な知識であるのは間違いなく、それだけではない、通俗的な勘違いについてもしっかりと語ってくれている。
実に興味深く知識も増える良い本であった。
今後哲学史を入門したい人にとっては、ネオ高等遊民さんの本とこの哲学史入門を読めばいいのではないだろうか。
問題は、今後職業哲学者、それも哲学史を専門にする研究者のハードルが上がったのではないかと思われる。これまでは哲学史記述も型にはまっていたが、これら入門者向けの正味の入門書が出たことによって、今後の哲学史記述の考え方を改めなければならないかもしれない。
あるいは、もうネオ民さん、哲学史入門で十分として、哲学史家は哲学史を書かなくなるかもしれない。そうなるのであればそれもいいかもしれない。
哲学史家は自分の専門の研究だけやっていればいいのだから、入門を書く人と専門研究をする人の棲み分けができていいのかもしれない。
とにかく、哲学史入門の決定版が2024年に出揃ってしまったため、今後の動向はかなり変わってくるのだろうということは容易に予想できるものだ。
まあ、がんばるしかないだろう。がんばれ。